Lost In Love – Air Supply|やさしい迷いに、つつまれて
≋ Gentle Waves no.4 ≋
・Prelude|まるで、昔から知っていたみたいに
・Drift|「愛」はあとから、そっとやってくる
・Coda|声に包まれる、やさしい夜に
Prelude|まるで、昔から知っていたみたいに
いつ出会ったのか、もう思い出せないけれど、
はじめて聴いたとき、不思議と懐かしかった。
やさしいハーモニーがすっとこころに溶けこんで、
ずっと昔から知っていたような気がした。
聴いていると、ふっと肩の力が抜けて、
胸の奥が、じんわりあたたかくなる。
そんな音楽って、何度聴いても安心できる。
この曲も、きっと、わたしにとってそういう一曲。
Drift|「愛」はあとから、そっとやってくる
ほんとうに大切だった瞬間は、
いつもあとから気づく。
あの日の声、まなざし、気配。
どれも、いま思えば「愛」だったのかもしれない──
I realize the best part of love is the thinnest slice.
(愛のいちばん素晴らしい部分は、ほんのかすかな一片だったと気づいた。)
愛って、そういうことなのかもしれない。
鮮やかな出来事よりも、
忘れかけていたやさしさの記憶が、
一番、心に残っていたりする。
わたしが気づけたのは、少し時間が経ってからだったけど。
たとえば、駅のホームでふと交わした目線とか。
寒い日の、あたたかいマグカップとか。
さよならのあとに、ふと残っていた匂いとか。
愛は、目立たない瞬間の中に、
そっと息をひそめているのかもしれない──。
Coda|声に包まれる、やさしい夜に
曲の終わりが近づくころ、
心の中のざわめきが、すこしずつ静まっていく。
Air Supplyの重なる声は、
ひとつひとつがまるで羽のように軽やかで、
そのハーモニーは、そっと背中にふれる夜風のよう。
迷いの中にいたとしても、
「やさしさ」だけはたしかにあった。
そう思えることが、どこか救いになる。
──たぶん、立ち止まってしまうのは、
やわらかな想いに、ふれたから。
ほんのすこし立ちすくんでいた気持ちが、
やさしい余韻に、つつまれてゆく──。

🎧 1980年。
気づけばそばにあった、Air Supplyの声。
甘さの奥にある「こころの迷子」を、そっと包む歌。
♫ Lost In Love – Air Supply
・Released: 1979/オーストラリア発のこの曲は、1980年に再録音され、世界にやさしく広がっていきました。
・Album: “Life Support”
・Genre: AOR/ Soft rock
・Written by: Graham Russell
あたたかな迷いのなかで、そっと誰かを想いたくなる夜に。
(オフィシャルビデオも素敵ですが、わたしはこのライブ演奏が心に響きました。よかったら聴いてみてくださいね。)