Baby Come Back – Player|忘れられない声が響く夜
≋ Gentle Waves no.3 ≋
・Prelude|ときは戻らない。でも──
・Linger|Have you used up all the love in your heart?
・Coda|音の余韻とともに
Prelude|ときは戻らない。でも──
それでも、もしかしたら、
ほんのわずかな望みが残っているかもしれない。
そんなふうに思いながら過ごした夜が、たしかにあった。
そんな夜、ふと心に浮かんだのが「Baby Come Back」だった。
70年代のやわらかいギターとコーラス。
だけど、どこか張りつめた空気もある。
誰かを強く求める気持ちと、
それでももう戻れないという現実のはざま。
たとえ戻ってきてくれなくても、
「戻ってきてほしい」と願ってしまう。
それは、心のどこかが、まだ手放せない証なんだと思う。
Linger|Have you used up all the love in your heart?
この一節が流れたとき、
胸の奥にふっと残っていた感情が、ゆっくり浮かび上がる。
「あなたの中に、もう愛は残っていないの?」
問いかけているのは相手だけど、
ほんとうは、自分の気持ちに問いかけているようにも聴こえる。
あの頃のふたり、たしかに想いは通じ合っていたのに──
すれちがってしまった理由は、もうわからない。
でも、いまならわかることがある。
ほんとうに大事だったのは、
そばにいた“その時間”そのものだったって。
🌙音の余韻とともに
思い出は、痛みじゃなくて、
たぶん──波のように心にふれて、
ただ、そっとゆれているもの。
この曲を聴くたび、
ふいにあの夜の気配がよみがえる。
話せなかったことも、言いかけた言葉も、
まだ、そこにある気がして。
あなたが去ったあとも、
あの声だけが、しばらく部屋に残ってたんだよ。

🎧 1977年。
静かなセンチメントを、軽やかなグルーヴに乗せて。
70年代後半、都会の夜に響いた“戻らない想い”のラブソング。
Playerの代表曲にして、今も多くの人の記憶にやさしく残る一曲。
♫ Baby Come Back – Player
・Released: 1977
・Album: Player
・Genre: AOR/Soft rock
・Written by: Peter Beckett, J. C. Crowley